Pride of Takara standard
#2 開発者たちのプライド
最高峰を作り出すために
1500℃の鉄と向き合う。
「鋳物」とは、「鋳型」と呼ばれる特殊な砂で作
られた型に1500℃の高温で溶かした鉄を流し込
み、浴槽の形を作り出す製造方法です。
全ての工程の始まりは、浴槽の基となる鉄を炉で
1500℃に熱し溶解させる工程。溶解炉から注がれ
る鉄は、少しの衝撃で火花が飛ぶほどの高温に熱
せられた状態で、鋳込みの現場へと運ばれます。
職人の経験と感覚が全てを決める。
火花と、炎と、
緊張感あふれる瞬間。
Vプロセス鋳造法は、鋳型の材料になる砂を、真空
ポンプで減圧し造形する特殊な製法。
原型に特殊なフィルムをかぶせる際は、 職人が息を
合わせ、一気にフィルムを圧着させます。
経験とチームワークが求められる工程です。
溶解し、高温を保った鉄は、「鋳型」に注ぎ込まれます。
高温の鉄を流し入れる過程にも精密なコントロールが必
要。数秒で一気に流し入れる際も、型の形状に応じてス
ピードの変化が求められます。複雑な形状の浴槽の鋳型に
鋳鉄を施すことが許された職人は、ごくわずか。経験と
感覚とセンスを頼りに行われる、重要な工程です。
0.1mmの輝きを幾度も重ねる。
洗練された乾式ホーローの技。
鋳物の浴槽と、ガラス質をより密着させるための
下引き釉薬(ゆうやく)吹きつけ。ガラス質の下地
をボディ全体に吹き付ける際、重要なのはわずか
0.1mmの膜になるよう均一に吹き付けること。人
の目で確認しながら、丁寧に吹き付ける。滑らか
なホーローの手触りの基礎は、この工程にあると
行っても過言ではありません。
下地が施された浴槽本体は炉の中で1000℃まで熱せ
られ、その灼熱のボディにガラス質の釉薬(ゆうや
く)が施されます。本体の温度が冷めないうちに、
回転させながら、0.3mmの厚さに均一に。再びそれ
を炉に入れて焼成し、ガラス質の層を重ねます。こ
の工程を繰り返し、生まれた1.0mm厚のガラス層に
より、鋳物ホーロー浴槽ならではのゆらぎのある
光、真珠のように滑らかな肌触り、剛さが生まれま
す。高温かつ複雑な形状の浴槽に厚さ1.0mmに均一
にホーロー加工を施す技術を持つ職人も、また限ら
れています。
タカラスタンダードの鋳物ホーロー浴槽には、
職人の名前が入ったシリアルコードが刻まれます。
品質の証と職人のプライドの証です。
お客さまにお届けする直前まで、人の目によ
る厳格なチェックが行われます。ホーローの
施釉状態や光沢感、手触りの滑らかさ、表面
の美しさ、コンマ数ミリの曲線の正確さ。そ
のすべてにおいて、厳しい品質基準を保って
います。
#2 開発者たちのプライド