田村家では、先祖が残した100年前の作品が今も色鮮やかで美しい。七宝焼の特性上、色が褪せることがないのだ。使われる釉薬のルーツはツタンカーメンの仮面の一部に使用されているほど古いもの。日本では7世紀に作られた古墳から出土されている。
田村氏は、現在日本で知られている近代の七宝の歴史は、釉薬の発展の歴史といっても過言ではないという。先祖を含め地元地域でも盛んに研究開発がなされて、不透明なものから、半透明、透明へと革新的な進化を遂げ、世界に誇る品質を獲得した。そういったストーリーと、ただキレイなだけでなく、美しいモノが美しいままずっと愛用され続けるという側面も七宝焼の魅力なのだ。