キッチンの中で大きな割合を占める「天板」。素材の種類が豊富で、天板によってキッチンの雰囲気ががらりと変わるため、リフォーム時は選び方にとくに注意が必要です。今回は、キッチン天板の素材ごとのメリット・デメリットを比較しながら解説します。天板選びで後悔しないためのポイントや、リフォーム事例もご紹介しますので、ぜひチェックしてください。
キッチンの天板とは?交換・リフォームする際のポイント
キッチンの天板とは、シンクやコンロとつながるキッチン最上部につけられた作業台です。調理や下ごしらえを行う場所であり、「ワークトップ」とも呼ばれます。
天板はキッチンの使い勝手や機能性に加え、インテリアとしての見た目にも大きな影響を与える部分です。素材やデザイン・配色、高さ・サイズなどを工夫することでより使いやすく、おしゃれなキッチン空間を演出できます。
天板を交換・リフォームして、理想的なキッチンにしたいとお考えの方は、以下の点に気をつけて天板を選びましょう。
システムキッチンとは?
種類・選ぶポイント・リフォーム事例はこちら
【比較一覧表】キッチンの天板の素材について
素材の種類 | 耐久性 | 耐熱性 | 耐水性 | 耐汚性 | 清掃性 | デザイン性 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クォーツストーン | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
ステンレス | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | ◎ |
人造大理石 | ◯ | △ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
天然石 | ◎ | ◯ | △ | ◯ | ◯ | ◎ | △ |
セラミック | ◯ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
メラミン | △ | △ | △ | ◯ | △ | ◎ | ◎ |
木材 | △ | △ | △ | △ | △ | ◎ | ◯ |
タイル | △ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | △ |
キッチンの天板に使われる素材には、主にステンレスや人造大理石、クォーツストーンなどがあります。この他、天然石やセラミック、メラミン、木材など多くの素材から選択可能です。
素材によって、耐熱・耐水・お手入れのしやすさなど作業時の機能面や、素材の質感・配色によるデザイン性、設置費用が異なります。理想のキッチンにするためには、素材ごとのメリット・デメリットを十分理解したうえで、キッチンの天板を選ぶことが大切です。
クォーツストーン
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
クォーツストーンとは、天然の水晶や石英をメインに使い、樹脂を混ぜて結合させた高級人造大理石の一種です。水晶の含有率が93%以上で表面の硬度が高いため、耐久性に優れ、傷が付きにくい特徴があります。
また、素材を構成する粒子間の隙間が小さい特性も。吸水性が低く汚れにくいため、お手入れしやすい素材です。
クォーツストーンの天板は、天然水晶を多く含んだ素材ならではのハイグレードな質感が魅力。おしゃれなデザイン性を求める方におすすめの素材です。ただし、重たい素材であり、価格が高い傾向があります。
- 小さな傷や料理中の汚れを目立たせたくない方
- 高級感あるおしゃれなデザインのキッチン天板をお探しの方
お手入れしやすく傷が付きにくい!
タカラスタンダードのクォーツストーンワークトップはこちら
ステンレス
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
ステンレスは、今も昔もキッチンの天板で主流になっている素材です。耐熱性や耐久性などに優れ、機能面のバランスがよい点が魅力。さびにくく、汚れのふき取りなどお手入れが簡単なのもメリットのひとつです。
キッチン天板の素材の中では、比較的価格が安く、選びやすい素材といえるでしょう。シンプルで機能的なキッチン天板をお探しの方に向いています。
一方デメリットは、表面に小さな傷やへこみが付きやすい点です。デザインも単調で無機質なイメージになるため、インテリアにこだわる人には少し物足りないかもしれません。
- デザインへのこだわりが少なく、機能面が気になる人
- 全体のコストパフォーマンスを重視したい人
人造大理石
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
人造大理石とは、天然石をイメージして作られた、アクリル系やポリエステル系の樹脂素材です。耐水性に優れ、水垢などの汚れに強いメリットがあります。
人造大理石は、他の素材に比べてデザインのバリエーションが豊富です。多くの選択肢から好みのキッチン天板を選びたい人に向いています。
一方で、耐熱性はやや低く、アクリル系素材では200度程度、ポリエステル系素材はさらに低い特徴があります。熱したばかりの鍋やフライパンなど高温のものを、長時間直接置くのは避けましょう。
- デザインや色などにこだわってキッチンを選びたい人
- アイランドキッチンなどキッチンをインテリアとして考える人
スタイリッシュでお手入れも簡単!
タカラスタンダードの人造大理石ワークトップはこちら
天然石
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
天然石のキッチン天板には、主に大理石や御影石などの石がそのまま使用されています。キッチン天板の中ではトップクラスの高級素材であり、他の素材にはない重厚感や唯一無二の高級感が魅力です。
耐久性や耐熱性にも優れているため、デザイン性と機能性の両方を叶えたい方におすすめ。
一方で、設置費用は非常に金額です。メーカーでの取扱商品も、同じく高級感のあるクォーツストーンなどに比べて少ない点がデメリットといえます。
- 天然石ならではの本物の素材を味わいたい人
- 高級感があって、おしゃれな空間の演出にこだわる人
セラミック
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
セラミックとは、陶磁器のような焼き物に代表される高熱で作られた窯業製品です。硬度が高いため傷が付きにくく、耐熱性にも優れています。
高級感のある外観に加え、比較的カラーバリエーションも豊富で、おしゃれなインテリアとしての演出も楽しめるでしょう。
デザイン性や機能性のデメリットが少ないですが、価格は比較的高額です。設置にかかるコストはかさみやすいといえます。
- 高級感があっておしゃれなキッチン空間を演出したい人
- キッチン天板の設置予算にある程度ゆとりがある人
メラミン
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
メラミンとは、合板に耐久性のあるプラスチックを高温で貼り付けて作られた素材です。メラミン化粧板と呼ばれ、キッチン天板以外にも造作家具の扉などにも用いられています。
メラミン性のキッチン天板は、デザインのバリエーションは豊富です。とくに木目調のタイプを採用すれば、ぬくもりのある個性的なキッチンを演出できます。他のキッチン天板素材に比べて、安価でお手頃感がある点もメリットです。
ただし、プラスチック素材であるため、高級感や本物感を演出するのは難しいでしょう。耐熱性や耐久性がやや低い点も注意が必要です。
- 木目調などを使って、キッチンを個性的に演出したい人
- コスト重視で、グレードや高級感にはこだわらない人
木材
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
無垢材や集成材など、天然の木材をキッチン天板に使うこともできます。木独特の温かみを感じるキッチン空間を演出できる点がメリットです。
天然の木材ならではの風合いも楽しめます。木材は加工しやすいため、個人でDIYとして楽しむことも可能です。
ただし、機能面は他の素材に比べて低め。とくに耐水性が低かったり、温度で形状が変化したりするため、こまめなお手入れ・メンテナンスが必要です。
- 木の素材が好きでこだわりのある人
- DIYが好きで、メンテナンスも苦にならない人
タイル
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
タイル素材のキッチン天板は、デザインやカラーバリエーションが豊富です。組み合わせ次第で、自由自在におしゃれなキッチン空間を演出できます。
タイル素材は耐熱性や耐水性に優れており、長い間使いやすい点もメリットです。
ただし、設置してから時間が経つと、タイルの目地にほこりや黒ずみなどの汚れが目立ちやすくなります。清潔に保つためには、こまめなお手入れが必要です。また、タイルの種類や必要な枚数次第では、設置費用もかさみやすいでしょう。
- 耐熱性と耐久性はとにかく重視したい人
- タイル張りが好きで、デザインや色にこだわりたい人
キッチンの天板の高さ・サイズを選ぶポイント
キッチンの天板の高さ(目安) | 身長(cm)÷2+5cmで算出 |
---|---|
キッチンの天板のサイズ(目安) | 間口(全体の横幅):約165〜360cm 奥行:約60、65cm |
床からキッチン天板までの高さは、キッチンに立つ頻度が一番多い人の身長をもとに、「身長(cm)÷2+5cm」に当てはめて算出するのがおすすめです。日本産業規格では、床からキッチン天板の高さは80~95cmの間で5cm刻みで決まっています。
なお、作業のしやすさは、キッチンに立ったときの肘の高さによっても変わります。高さを決める際は、実物を見て自分に合った高さを確認するとよいでしょう。
また、天板全体の間口や奥行のサイズは、設置するキッチンのタイプやキッチンに立つ人の数などでも変わります。普段からどのようにキッチンを使っているかを考えて、最適なサイズを検討しましょう。
キッチンの天板の色を選ぶポイント
- キッチンの扉や壁に調和する色を選ぶ
- 部屋の雰囲気やインテリアとのバランスを考える
- 汚れの目立ちやすさから考える
天板の色はキッチン本体だけでなく、キッチン周りの壁やフローリング、食器棚などとの色合いを考えて決めるのがおすすめです。
オープンキッチンであれば、LDK全体と調和する色であるかどうかも考慮する必要があります。とくに、ダイニングテーブルなど大きめの家具とのコーディネートには注意が必要です。
ホワイト系の天板は、清潔感がある反面、汚れが目立ちやすい特徴があります。ブラック系の天板は、クールな印象で重厚感を演出できますが、ほこりが目立ったり圧迫感が出やすかったりするデメリットも。また、グレー系やベージュ系は比較的汚れが目立ちにくい特徴がありますが、淡い色の家具が多いご家庭だとぼやけた印象に見える可能性もあります。
どの色の天板にもメリット・デメリットがあるため、部屋全体のバランスを考えて検討しましょう。
【キッチンの天板の色を比較】
天板の色の種類 | 汚れの 目立ちにくさ |
ほこりの 目立ちにくさ |
清潔感 | 重厚感 |
---|---|---|---|---|
黒系 | ◎ | △ | △ | ◎ |
白系 | △ | ◎ | ◎ | △ |
グレー系 | ◯ | ◯ | ◯ | △ |
キッチンの天板選びで後悔しないためには?
- キッチンを使う際の優先順位を考える
- 天板のデザインや色はインテリアに合わせて決める
- ショールーム見学に行ってみる
キッチン天板選びで後悔しないために、キッチンの中で重視したいポイントや部屋全体のインテリアを考えることが大切です。頭で描いたイメージを具体的にするためにも、ショールームで実際の商品を体感してみましょう。キッチンの天板選びのポイントを3つご紹介します。
キッチンを使う際の優先順位を考える
キッチンの天板を選ぶ際は、それぞれの素材が持つ特徴を把握して、自分が必要とする機能の優先順位を考えてみましょう。
たとえば、使いやすさ重視であれば、耐熱性や耐水性に優れる素材を、見た目のデザインが譲れないポイントであれば、高級感やカラーバリエーションのある素材を選ぶなどです。
お手入れの手間を省きたい方は、清掃のしやすさを重視してみましょう。コストが気になる人は、価格が手頃な素材の中から選ぶのがおすすめです。いくつかあるポイントの中で、ご自身がどのポイントを重視するのか整理してみましょう。
天板のデザインや色はインテリアに合わせて決める
キッチン天板の色を選ぶ際は、キッチン周りやLDKの雰囲気と調和が取れているかどうかを考えてみましょう。
キッチンは設備として機能面も大切ですが、今はLDK全体のインテリアを構成する重要な要素のひとつ。とくに、アイランドキッチンやペニンシュラキッチンなどのオープンキッチンの場合、LDKのインテリアの大半を占める重要な構成要素といえます。
キッチン空間だけでなく、リビングやダイニングの雰囲気、ダイニングテーブルなど大きめの家具とあわせて、天板の色やデザインを考えましょう。
ペニンシュラキッチンとは?
選び方やリフォームのポイントはこちら
ショールーム見学に行ってみる
キッチンの天板を選ぶときに、カタログやホームページで大まかなイメージは掴めても、質感や色合い、使いやすさなどは実物に触れないとわかりにくいものです。
タカラスタンダードでは、お客様が実際の商品を体感できるよう、全国47都道府県約160カ所にショールームを展開しています。ショールームでは、天板やシステムキッチンなどさまざまな製品を、実際に見て触れて体験できます。リフォーム後の具体的なイメージの確認が可能です。
気になる点があれば、専門のアドバイザーがサポートしながらご案内します。より理想のキッチンにしたい方は、ぜひショールーム見学に行ってみましょう。
理想のキッチン製品に出会える!
タカラスタンダードのショールーム検索・予約はこちら
【タカラスタンダード】キッチンの天板のリフォーム事例
タカラスタンダードでは、クォーツストーン天板のアイランドキッチンやペニンシュラキッチンをはじめ、おしゃれで実用的な製品を多数ご用意。ここではタカラスタンダードの数あるリフォーム事例の中から、3つの事例をご紹介します。
なお、紹介している製品については、モデルチェンジにより取材時からデザインが変わっている可能性がありますので、あらかじめご了承ください。
クォーツストーン天板でお手入れらくらく
![]() |
![]() |
【リフォーム前】 | 【リフォーム後】 |
---|
![]() |
【リフォーム前】 |
![]() |
【リフォーム後】 |
こちらのリフォーム事例は、壁付けキッチンを広々としたアイランドキッチンに変更したものです。リフォーム前は、壁がタイル貼りで掃除がしにくいうえ、ダイニングテーブルや食器棚で場所を取り、行き来がしにくい状態でした。
リフォーム後のアイランドキッチンは、クォーツストーン素材の天板でお手入れが簡単になり、インテリアとしてのデザイン性も格段にアップ。アイランドキッチンならではの開放感とあわせて、理想のキッチンになりました。
広々とした天板を採用し調理・片付けを快適に
![]() |
![]() |
【リフォーム前】 | 【リフォーム後】 |
---|
![]() |
【リフォーム前】 |
![]() |
【リフォーム後】 |
こちらの事例では、壁に囲まれた閉鎖的な対面キッチンから、開放感抜群のアイランドキッチンにリフォームしています。
リフォーム前は家族とのコミュニケーションができず孤独で、1人で料理や片づけをしなければならない点がお悩みでした。
リフォーム後のアイランドキッチンは、抜群の開放感や家族との一体感が感じられる仕様に。天板が広く、調理や片づけもグッと楽になりました。
重厚感と高級感あふれる2列型キッチン
![]() |
![]() |
【リフォーム前】 | 【リフォーム後】 |
---|
![]() |
【リフォーム前】 |
![]() |
【リフォーム後】 |
こちらのご家庭は、壁の多い対面チッキンから、重厚感のあるダークカラーのクォーツストーン天板を採用した2列型のキッチンにリフォーム。
リフォーム前は、収納スペースの少なさにお悩みを抱えていました。リフォーム後は悩みが解消しただけでなく、おしゃれなキッチンが完成し部屋の雰囲気が一変。クォーツストーン天板にしたことで、高級感あふれる空間を演出できました。
キッチンの天板に関するよくあるQ&A
キッチン天板を選ぶ際に抱きがちな、よくある質問をQ&A形式でまとめています。事前に疑問点を解消しておきましょう。
Q.システムキッチンの天板のみを交換できる?
技術的には、ワークトップが外せるタイプのキッチンであれば、天板のみの交換が可能です。しかし、実際に天板のみを交換できるのは、商品の製造や販売が継続している場合に限られます。
商品の製造や販売の状況はメーカーにより異なるため、天板のみ交換したい場合は販売元のメーカーに問い合わせて確認してみましょう。
Q.キッチンの天板はDIYでも交換できる?
キッチンの天板は、ホームセンターや通販サイトでも販売されています。そのため、DIY好きで自力での加工や設置作業が苦にならない人であれば、交換可能です。
しかし、天板は総じて重量があり、今のキッチンに合わせて加工や解体・取り付けなどの工程を行う必要があります。作業の難易度は高いでしょう。
よって、きれいにキッチン天板を交換したい人や失敗したくない人は、最初から専門業者に依頼するのがおすすめです。
Q.キッチンの天板の交換にかかる費用は?
キッチン天板の交換にかかる費用は、天板の種類・サイズによる製品代金の違いだけでなく、交換を依頼する施工業者の工事費用でも差が出ます。
一般的には、15~30万円程度が相場と考えられるでしょう。キッチンを丸ごとリフォームするよりも費用面ではお手軽です。キッチン本体の耐用年数なども考えながら、天板のみ交換するかリフォームするか検討しましょう。
キッチンの天板は素材やデザイン・機能性にこだわって選ぼう
キッチンの天板には、人造大理石やステンレス、セラミックなどさまざまな素材が使われます。素材ごとにデザインや機能性が異なるため、メリット・デメリットをよく理解して選びましょう。
また、より理想的なキッチンにするためには、天板の高さやサイズ、色選びも大切です。後悔しないためのポイントを押さえて、ご自宅のキッチンに合う理想の天板を選びましょう。
タカラスタンダードでは、全国47都道府県約160カ所にショールームを展開。システムキッチンをはじめ、浴室や洗面などの各商品を実際に見て触れて体験していただけます。
気になる点があれば、専門のアドバイザーがご案内してサポートしますので、ぜひお近くのショールームへお越しください。